【引継ぎ】「業務」を引継いで思ったこと
はじめに
非定型業務の引継ぎを行うこととなった。
文書化・形にすることができず、引継ぎが困難に。
引継ぎに関する参考書が全然無いし・・・
前任者はどうなるの?
後任者は何をしたらいいの?
この度の経験を振り返って反省を残したいと思います。
結論
◆引継ぎの難易度
定義され形となっている業務は引継ぎやすい。
逆は引継ぎにくく、例えば次のような内容である。
ノウハウや技能などの定義しにくい業務。
定義可能だが形となっていない業務。
定義可能だが組織に認識・共通認識されていないいない業務。
◆引継ぎの工夫
管理者:
部下や組織の業務を認識し、定義・定量化を行う。
認識の結果、評価や報酬も行わざるを得ない。
左記ができなければ、前任者より引継ぎは行われない。
前任者:
評価されてこなかった業務は引継ぐ義務が無い。
認識されていないものが、突然沸いて出るようなものだ。
認識されるが評価されず、引継ぎ時にパクられる状況に
ならぬよう進行すべき。
後任者:
定義、未定義の曖昧な領域を、なるべく漏れなく引継ぎ
されるよう努めるべき。
管理者が引継ぎまでしっかり行ってくれれば問題ないが
その保証がなければ、基本的にはスタート時点で後任者が
劣勢であることは間違いない。従って、引継ぎの主体は
後任者となる。管理・進行などを能動的に行うべき。
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もくじ
背景-こんなケースです
例えば、
営業職の引継ぎをイメージしてみましょう。
営業日報を上司に送るだとか勤務表の書き方・・・
なんてのは定型業務だ。マニュアル化し、「読め」、「質問は?」で終われるはず。
世の中に腐るほどノウハウあるのでそちらを参考ください。
営業の行い方・・・
は人それぞれだし、どうにもできない。
無論、前任者なりの作法や方程式はあろうが、これをそのまま踏襲しろと
申し渡したところで引継ぎにならないのはお分かりだろう。
大袈裟かもしれないが、声の出し方からゴマのすり方、提案交渉術まで、
全てを盗もうったって人間のコピーは一朝一夕にはできない。
(それでメシを食っているわけですからね・・・)
(っていうか、こんなノウハウ・作法まで引継ぎ対象なの? とか。)
引継ぎ・交代を見据え、教育期間も見込んで人材投入・・・
もはや引継ぎではなく、じっくり教育のレベルまで話が大きくなると
当記事の対象を超えます。。
じゃあ、何をしたら引継ぎOKなのよ・・・ というところで次項へ。
引継対象の定義
⇒後任者が主体で行うべき
ゴールが定義されなければ始まらない、ことは言うまでもない。
定量的な内容は"定義"することが簡単だ。
そもそも形として管理されていることだろう。
営業担当の顧客情報 であれば顧客リストで足る、などを想定する。
ここで、どこまで定義されているのかが問題となる。
顧客情報って何?
おそらく、顧客の担当者名や連絡先「くらい」は顧客リストに記載されている
「だろう」ことが想定される。
定義の曖昧さ
では、どのレベルまで? となったところで、定義は様々である点に着地する。
「くらい」「だろう」は、あくまで慣習・感覚的であり、定量・定義ではない。
営業部・課などの組織単位で品質の均質化や管理は概ね行われていて
顧客リストのような管理体・システム/データベースも存在することだろう。
さて、引継ぎの観点では、、
既に形になっているもの(定義済)は、渡して終了。
システム化や、リストが社内で保存・共有されていれば、「渡す」ことすら不要だろう。
必要に応じて、各事項の意味を補足伝達し、質疑応答すればゴールが見える。
議論の余地はほぼ無い。
前述のとおり、全てのマニュアル化・定量化は不可能で、この
形になっていない/できない、未定義情報をどうするのかが論点となる。
未定義情報の引継ぎ
例として次のケースを想定してみる。
前任者は、顧客の誕生日や家族構成までメモを残していた。
誕生日には一報入れるなど、工夫して営業していた。
しかし、誕生日情報の管理は、営業部・課でルール化されていない。
顧客リストに入力欄も無い。
はたして誕生日情報や一報入れてきた旨は、引き継がれるだろうか?
言うまでもない・・・
(基本的には性悪説で議論を進めます)
ゴールの定義
左記のシナリオ例を踏まえ、ゴールを考えてみると
引継対象の定義、ゴールの定義は「顧客リストの授受」で良いのだろうか??
(のみでよいのだろうか)
前任者目線で言えば、言うまでもない・・・
後任者目線では、なるべく引き出したいところ。
⇒ここのジレンマがキモ・論点だ!!
ここで、
例えば、後任者が「誕生日に何かしていましたか?」と前任者に質問した場合、
仕事として実施していたことを公開できない、というのはおかしい、とか
黙秘は業務違反に抵触することを前提とすると、
前任者は引継ぎせざるを得ない。
一旦ここまでの議論をベースに各人がとるアクションを考えると、
情報ごとに次のようになる。
◆定量的で組織で定義された情報
⇒そのまま横流しで終了。
◆未定義情報
⇒前任者が能動的に引継ぎされる可能性は言うまでもなく・・・少ない。
前提:性悪説
⇒後任者が能動的に引継ぎを行う場合、前任者は仕事の実績に対する回答を拒否できない。
前提:仕事として実施していた事実が共通認識である
つまり・・・
後任者は未定義情報の入手を能動的に行ったほうがよい(仕事のやる気があるなら)。
→状況を考えると、
平たく言えば、後任者が劣勢である。
性悪説前提で受け身の場合、受ける権利のある事項をロストしてしまうからだ。
さらには、組織の損失・劣勢との見方もできよう。
では、劣勢側の防衛策はないのでしょうか・・・次項へ。
引継ぎの品質
⇒後任者の技量による。後任者目線で言えば武装はより多いほうがよい(直ちに武装せよ)。
100%以上の引継ぎが、皆HAPPY。
ただし、100%を下回っても前任者はHAPPY。(100%以上にHAPPY!?)
組織や後任者としては、何とか引継ぎの品質を上げたいところ。
どのような策があるのか。。
ここでは、組織や後任者が主眼・論点となるところ。
引き続き、情報の種類別に見てみます。
品質
引継ぎの品質とは何かについて、簡単に考えてみたい。
本来、後任者や組織が前任者より引継ぎを受ける権利のある資産を
実際にどれだけ引き受けられたか、としたい。
もしかすると、権利はあるもゴミも含まれているかもしれないし
不要なものもあるかも。。
例外的だが、後任者が忙しすぎて引継ぎに時間を裂けず自爆に至る場合あり。
引継ぎ後に発生した損失、と表現すれば早いか。
品質担保(のしやすさ)について、引き続き情報の種類毎に見てみたいと思います。
◆定量的で組織で定義された情報
定義された情報は、必然的に共通認識となる。すると、品質管理も行いやすくなるかと。
なるべく広範に定義が行われているほうが、組織および後任者には有利ということに。
誕生日情報が顧客リストにあればよいのです。営業マニュアルがあればよいのです。
そして、年までなのか、年月日までなのか、西暦or和暦などの表現・・・
などと定義を深堀すれば、品質は向上していくことでしょう。
このような管理を行うのがマネージャ。管理が行き届いていないと
引継ぎ時に(組織・後任者は)劣勢となりやすい。
管理の範囲と品質を上げること。誕生日情報が顧客リストにあるだけでは
反映・更新がなされているかまで管理できているとは言えませんね。
引継ぎ時に、なぜ未入力なの? と言えると、結果的に無いものは
引継ぎできないが、前任者の落ち度であることが明確であるだけで
後任者の気は楽になる。
◆未定義情報
後任者の技量による。 そもそも、誕生日に何かするの?
といった初心者レベルであれば
前任者に聞いておかなきゃ、といった境地にすら至れない。
無論、引継ぎにマネージャや同僚が関与・助太刀してくれれば助かるが
忙しいから担当者間でやれ、なんてところも結構あるのでは?
さらには、引継ぎが終わって数か月し、契約終了なりクレームなりを食らってから
「何てこったい」「前任者のようにちゃんと働け」などと攻められたらたまらない。
引継ぎされていないから、再び1から積み上げることになるも、
顧客からみれば当然、同じ「弊社」と取引している感覚だ。
効率が落ちたり、無能力者、遅くなった・・・などと
後任者は、顧客から見て「悪く」映ることだろう。
無知の無知は、どうしようもない。
後任者はなるべく多くを想定・学習して引継ぎに臨むしかない。
無論、上司同僚をはじめとした有識者の協力を得ることは一興だ。
つまり・・・
後任者は、十分なキャリア・経験者でもなければ、可能な限り知識をかき集めるしかない。
繰り返しになるが、組織や有識者を味方につけることも有用だ。
ここで、社長役員まで付けて前任者と向かい合えば皆HAPPYなのだろうか。
管理が徹底していなくても、引継ぎ時に殿様方が出合えば万事解決? 管理不要?
殿様:「引継ぎ量はそんなもんじゃねぇだろう、前任者よ、もっと出せや~」
社長:「もっと出さねぇと、死んでも吐かせるぞ~」
これぞブラックなのでしょうか・・・
おっと、今度は前任者が劣勢?
前任者の立場での考察も必要そうですね。次項にて、、
仕事の評価と引継ぎ
⇒前任者が評価を得ていないプロセスは引き継がれない
評価を、プロセスと結果から行っている会社は多いだろう。
0:10の成果主義含め、比率は様々だろうが。
引継ぎにおいても、結果とプロセスが対象となる。
結果が顧客・顧客情報などの定量的なもの、プロセスが未定義情報に概ね該当する。
そもそも組織に認識されていないプロセスは、評価されるわけがない。
ここでも無知の無知の世界で説明がつく。
・・・知らないものの評価を行いようが無いでしょ。
プロセスの認識(組織・管理者も認識。共通認識)と評価
が行われていることがベストだが、現実はなかなかうまくいかない・・・
別途、結果が出ており結果で評価されている可能性は考えられる。
では、結果に到達しないプロセスは評価されない、結果主義でよいのか・・・
さて、引継ぎに話を戻そう。
評価されないプロセスを、次の2種類に分けて考えてみたい。
キーワードは認識と結果だ。
認識されていないプロセス
(実施命令は無いけど、前任者が有益と思って実施していたこと)
まさに未定義情報と言えよう。誕生日の情報を集めたり一報入れるプロセスが
認識されていなければ、前任者よりわざわざ引き継がれることは無いでしょう。
(性悪説前提ですので)
無論、ここでいう有益とは前任者自身の利益・損得のことだ。
評価されないにもかかわらず、将来の収穫に繋がると読み、
前任者は投資してきたのだ。
(少しでもお客様のことを知ろう、ネタ集めしよう、とかね)
ここで、確か前任者さんって、誕生日情報を収集してませんでしたっけ?
なんてことになれば、前任者は引き継がざるを得ないかもしれない。
このプロセスが共通認識となってしまえば、
途端に前述の前提に該当してしまうからだ。
少なくとも、勤務時間内に実施していた
(から必要な仕事でしょ? じゃあ、しっかり引継がなきゃでしょ?)
などとなるようであれば、これはプロセス評価されている前提に持ち込まれる。
時給として労働が「時間」に対して対価を出しているからだ。
プロセスの内容が認識理解されていなくとも、一律、「時間」に払われている。
プロセス評価でかつ、プロセスの認識が欠落する温床の一例だ。
では、全ての仕事時間・拘束時間に給与が発生しているかというと
グレーが多い。また、割に合っているかも微妙だ。
前任者目線では、ほぼサービス残業で実施してきた、など
評価に納得いかない場合もあろう。
行きたくもない飲み会やゴルフに接待として実施し、会話の中で
誕生日情報を入手したかもしれない。
飲み会代・ゴルフ代や時給は出るだろうか。
(だから結果主義を採用するのかも、ですがね)
そこで前任者は、評価されない努力(プロセス)をタダで会社に回収されることを嫌気し
会社に隠して共通認識とならぬようプロセスを実施して自己投資を重ね
結果で評価を受けるように(受けられるように・までに)
なるでしょう(努めることでしょう)。
プロセス評価の場合、ある種、評価されないプロセスは
仕事に不要なプロセスであると認識されているとも言える。
不要なのに、なぜ引継ぎ対象になる?? と矛盾を主張したくなる。
ま、あるんだから、ここで捨てること無いじゃん
と組織より詰められることは明白で、やはりひた隠しに個人で進め
結果に到達するまで影の努力をするしかない。。
後任者目線で、これを掘り起こすのはかなり困難と想定される。
何より黙秘が成立するので、引き継ぎを受けることができない。
まあ、性善説に立てば評価の無いものを"よこせ"は言い難いですよね。
結果の出ないプロセス
(実施命令は有るけど、前任者が無益と思って実施していたこと)
意味が無いと分かっていても、強制的に実施させられるプロセス、ありますよね。
誕生日情報、一応取っといて!とわがまま上司に頭ごなしに言われて
実施してきたかもしれない。でも、評価されない、言ったことすら忘れかけてる上司・・・
5年後に花が咲くプロセスで、今3年目。あと2年実施しなければ結果は出ないし意味が無い。
・・・にもかかわらず、収穫期を迎える前に異動が宣告されたかもしれない。
昇格やボーナスにも繋がらず、結局尻だけ叩かれ続けて
使われた挙句、異動切り、さよなら社内人脈クリア
ブラック人事ロンダリングみたいな。。
上記のような、後任者のアシストに(なる可能性がある)しかならない内容が
引き継がれると思いますか?
命令なので、おそらく顧客リストに誕生日欄があると想定されますが、
評価されないだけあって、概ね管理状態は曖昧なはずです。
無論、しっかりと管理されているのであれば、評価もしっかり
されたいわけで、引継ぎ以前の段階で前任者と上司が
評価に対する協議をしているはずです。
引継ぎの段階になって、ああ、埋まっていない項目あるね~
→何らかの理由をつけて・・・例えば
聞きそびれてました、、とか、お客様が結構イヤがるんスよね~とか
たとえ情報を持っていたとしても、対後任者というか、対組織に
情報を献上することはアホくさいでしょう。
前任者目線では、評価されないわけですから
(結果・評価が得られるのは先であることが前提)
恨みも含めておもいっきりドブに捨ててやればよいのです。
評価しないくせに、「ちょーだいな」でタダで貰おうっていうわけですからヒドい。
その後、自身が抜けた後、所属していたその組織が衰退していく様子を
ほくそ笑みながら眺めるしかありません。
(性悪説が前提ですので)
(わざと陥れるために行っているわけではない)
後任者、前任者目線で考えてまいりましたが、
何だか組織として不幸しか無いように思えてきます。
明るい道は無いのか、最後に考えてみます。
プロセスの管理
ここまで、引継ぎの悪い面を考察してきた。
悪いことを前提に、その対策はどうあるべきかを
後任者・前任者目線で追った。
一旦、このような悪いフィールドで働くことを前提とすれば
結論は前述までで出たと思っている。
最後に、
なぜ悪い状況になってしまったのかや、
何を以て良し悪しを判定するかを考察し、
悪い環境の改善であったり、
後任者がそもそも悪い環境へ参入しない、
悪条件の引継ぎを拒否・警戒するといった
ブラック対策の可能性を模索して、明るい未来への道筋を考えてみたい。
⇒長くなりましたので、別記事といたします(以下です)
私のケース
理詰めが先行したところで、自分の経験を反省したい。
⇒長くなりましたので、別記事といたします(以下です)